政府の決定により、5月8日から新型コロナウイルス感染症は5類に引き下げられました。
当オフィスでは以下のような方針です。
①マスクの着用は、クライエント様、セラピストともに、個人の判断となります。
②手指の消毒も、個人の判断に任されます。
③1時間に1度、換気を実施します。
④体調が悪い場合には、その旨をご連絡ください。必要に応じて、Zoom面接への移行も可能です。
⑤セラピストの体調が悪い場合には、面接がキャンセルされる場合があります。また、可能であればZoom面接への移行も検討されます。
⑥発熱などの症状がある場合には、基本的にキャンセル料は発生しません。
2023年5月
品川心理オフィス
1.大人の発達障害:自閉症スペクトラム障害(ASD、アスペルガー障害を含む)、注意欠如・多動性障害(ADHD)
対人関係や仕事や日常生活の困難の背景に発達障害が影響している場合があります。「発達障害心理査定ドック」をご希望される方のために、ここで少し詳しくご説明いたします。
自閉症スペクトラム障害には、社会性(対人関係)の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害(こだわりの強さ)という特徴があります。具体的には以下のような以下のようなものを含んでいます。
・集団活動が苦手で、「空気が読めない」。
・対人関係がうまくいかず、相手の言っていることや感じていることを理解できない。
・自分の言いたいことや感じていることをうまく表現できない。
・対人的相互反応で、視線が合わない、身振りや表情の理解や使用が難しい。
・人間関係を発展させ、維持し、それを理解することができない。
・自分の興味や行動パターンに強いこだわりがあり、想定外の行動に抵抗がある。
・不安障害や抑うつ障害を併発しやすい。
※カウンセリングや心理療法を通して、自己理解を深め、不安や抑うつを軽減し、家族による理解を促進することなどが求められます。また、落ち着く環境を整え、聴覚情報よりは視覚情報を活用し、抽象的な指示よりは具体的な指示を活用するなど個人の特性に応じた工夫が必要となります。
一方、注意欠如・多動性障害(ADHD)は、不注意と多動性・衝動性が主たる特徴です。
不注意は、課題から気がそれること、忍耐の欠如、集中し続けることの困難、およびまとまりのないことを意味しています。具体的には以下のようなものを含んでいます。
・うっかりミスが多い、忘れ物が多い。
・注意を持続できない、外的刺激によって気が散りやすい、
・話しかけられても聞いていないように見える。
・指示に従えず課題をやり遂げられない、課題や活動を順序だてることができない、精神的努力の持続を要する課題(宿題、報告書作成)に従事することを避ける。
多動性は、不適切な場面での過剰な運動活動性、過剰にそわそわすること、しゃべりすぎることであり、成人では、過剰に落ち着きがないこととして表現される。
衝動性は、事前に見通しを立てることなく即座に行われる、自分に害となる可能性の高い性急な行動である。
多動性・衝動性では、具体的には以下のようなものを含んでいる。
・じっとしていられない、静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
・落ち着きがない、しゃべりすぎる。
・質問が終わる前に出し抜いて答え始めてしまう、自分の順番を待つことができない。
・ひとつの課題にじっくり取り組んだり、集中できない。
多動性は、成長に伴い軽減するが、落ち着きのなさ、不注意、計画性のなさ、衝動性に伴う困難は持続しやすい。また、不安障害や抑うつ障害が併発しやすい。
※カウンセリングを通して本人の自己理解を深め、不安と抑うつを軽減し、本人の自己評価を回復していくことが求められる。また、集中力を妨げる刺激を減らし、仕事の優先順位をつけ、課題の進捗状況を視覚的に把握できるような個人の特性に応じた工夫が必要になる。家族や周囲の人たちが本人の特性を理解できるように援助することも重要である。
2.発達障害心理査定ドック
品川心理オフィスでは、大人の発達障害心理査定ドックを実施しています。アスペルガー障害を含む自閉症スペクトラム障害、注意欠如多動性障害(ADHD)などの発達障害についての心理査定のパッケージです。
初回面接では、症状や問題について詳しくお伺いいたします。続く2回目(または3回目)の面接で各種心理検査(知能検査WAIS-Ⅳ、自閉症スペクトラム障害心理検査、注意欠如・多動性障害心理検査)を実施します。3回目(または2回目)および4回目の心理査定面接では、生育歴についてお伺いし、パーソナリティ形成、症状・問題の形成過程について検討いたします。4回目の面接では、心理検査報告書を差し上げ、全般的なフィードバックを行います。5回目の心理査定面接では、心理検査の結果の質疑応答、心理査定面接全般についてのフィードバック、カウンセリング、助言指導を行います。全体として4回または5回の面接となります。特に心理検査・心理査定を専門とする臨床心理士・公認心理師(大学教員)が担当いたします。
知能検査WAIS-Ⅳを希望されない方には、通常の初回面接、心理査定面接の中で、自閉症スペクトラム障害心理検査、注意欠如・多動性障害心理検査などを実施することが可能です。この場合は、それぞれの心理検査料がかかります。
発達障害心理査定ドックは、どなたでもお受けいただけます。まずは初回面接をお受けください。相談申し込みの際に、「発達障害心理査定ドック希望」とお知らせください。
また、医師の紹介状をお持ちの方には、医師向けの報告書も一部差し上げます。こちらは料金はかかりません。
東京心理療法センターの設置のお知らせ
品川心理オフィスでは、これまでも心的外傷後ストレス障害への心理療法や援助を提供してきておりますが、広い意味で心的外傷からメンタルヘルスの問題を考え、心理療法を提供し、様々な情報提供を行い、心理専門職にセミナーや研修を提供する部門として、2020年4月より東京心理療法センターを設置しております。
心的外傷自体は非常に幅広い概念です。ある意味ではすべての心理的問題は、発達上の固有のベースと何らかの心的外傷や傷つきとの関連の中で発生すると考えられます。しかし、心が処理できないほど大きな外傷体験は、フラッシュバックや悪夢などの侵入症状、回避行動、過覚醒、自尊心の低下や陰性感情など様々な困難を引き起こします。こうした障害を心的外傷後ストレス障害(PTSD)と呼びます。
また、幼少期における虐待との関連で、様々な重篤な心理的問題が発生します。例えば、解離性同一性障害、解離性健忘、離人症、現実感喪失症。境界性パーソナリティ障害、自己愛パーソナリティ障害、その他のパーソナリティ障害にも類似した環境要因の関与が想定されます。こうした心理的問題には、慎重な心理査定、構造化された心理療法、必要に応じて精神科医療との連携が求められます。
こうした問題を抱えた方への心理療法や援助の提供、情報提供や社会啓発、カウンセラー・臨床心理士・公認心理師などへの訓練やセミナーなどに興味のある方は相談申し込みフォームからお問い合わせください。
抑うつやうつは、人間にとって自然な感情状態の一つです。抑うつには、その程度にかなりの幅があります。ですから、抑うつのすべてが抗うつ剤の適応というわけではありません。重篤な自殺念慮や自殺企図を伴う重度のうつを除けば、多くの抑うつは十分に心理療法の適応となります。というか、洞察型の心理療法こそが抑うつ者の人格構造を改善する最も有効な手段でもあります。場合によっては、精神科医を紹介し、投薬と並行して心理療法を実施することも有効です。
こころの落ち込み、抑うつ、うつは、大切な対象を失ったときに生じる悲しみや悲嘆の感情と共通しているところがあります。双方とも、当事者は、悲しみに暮れ、失った対象への思いに沈み、自責的になり、物事や外界への興味や関心を失い、自己の内面に引きこもってしまいます。
自分が対象を喪失したことを悲しみ、悲嘆にくれるなかで、その対象喪失をめぐる自己の体験を受け止め、消化し、最終的にその対象を心の中に再建できるならば、悲しみを抱えながらも、外界への興味や関心を徐々に回復していくことも可能です。しかし、本人にとってこれはそんなに簡単な営みではありません。また、周囲の人たちも、悲嘆にくれるその人を受け止めることに耐えられなかったりします。また、そういう周囲の人たちは、自分自身が悲しみに耐えられないことを意識しないまま、代わりに、相手の人が悲しみを切り離して、一見「立ち直って」くれることを望んでしまいます。要するに、「見ている私が不安になってしまうから、あなたの悲しみを消してくれ」と言っているのですが、それを「相手のため」に言っていると思いこんでしまいます。言われた本人も、そうすることが「正しい」と信じてしまいます。助言した人は相手が「立ち直って」くれたと思って、安心して去っていきますが、残された当人は数か月後に深い抑うつに落ち込んでしまいます。
当人は、抑うつやうつに落ち込みながらも、自分が何を失っているのかが分からなかったりします。失われた対象との関係が複雑な感情を伴っているとき、そうした自己の内面を処理することができなくなってしまいます。すると、喪失した対象を自分の心の中にそのまま取り込んでしまい、そうして取り込んで自己の一部としてしまった対象に対して攻撃的な気持ちを向けて、自責的になってしまうことがあります。そうしたプロセスは本人にも自覚されにくく、出口を見失ってしまいます。